失語症記念館
南イタリアの旅

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15.まずはお勉強

2002年 4月:

 バスターミナルから、考古学地区へ行くバスに乗る。近場に行くバス乗り場はパレルモから来たバスを降りた場所から離れているので、きちんと場所を覚えていないと帰りに迷いそうだ。チェック、チェック。
バス乗り場には沢山の小型バスが並んでいた。まゆみの出番である。
「ムゼオ?・・・行く?」てなイタリア語を連発。ムゼオは博物館のこと。

テラモーネ

アグリジェントのテラモーネ
「これに乗れ」
「ありがと!」ふう、やっとこれで目的地に行けるわけだ。ちょっと一安心。
ここでもバスの中に日本人は私達だけ。ほどなく
「マダーム!ムゼオだ。降りな!」ドライバーが大きな声で教えてくれた。
「ありがと!」あれ、みんな降りないの?・・・降りたのは私達だけだった。他の乗客は神殿まで一直線らしい。さあ、国立考古学博物館だ。ひどく広い敷地で、入り口まで結構ここでも歩かされた。入場料は8000リラ。

 さすが、イタリアの果ての博物館である。無休だと言うが、日月火は9時から13時までしか開館していない。水曜から土曜は14時から17時半も開館するらしいが、それでもちゃんとお昼休みは閉まるらしい。その規模はシチリア有数と言うが、展示されている物の英語の説明書きは、もう消えてどのくらいたつのという感じでほとんど読めない。だから何がなんだかよく分からない。でも古代すごく繁栄していたのねっていう展示品がもういいよってくらい、そこら辺にひしめいていた。展示室は20くらいの部屋に分けられている。

 博物館の敷地内には、紀元前1世紀の頃の小神殿や紀元前3世紀の頃の集会場の遺構もあり、その上に渡した板の上を歩きながら見ることもできる。この場所は古代の集会場だったらしいと書かれていた。遺跡の上に博物館を建ててしまう・・・さすがイタリア人は違う!

 この博物館で目を引くのは、何で昔の人はこんな物を作ったのかなぁと思わずにいられない人像柱テラモーネ。高さ7.7メートル。ジョーヴェ・オリンピコ神殿を飾っていたという。神殿前面の列柱の間、基階から列柱の半ばまで石積みされた上に柱として組み込まれていたそうだ。つまり梁を支えていたわけ。今でもこれが発掘された場所に行くとこれのレプリカが発掘されたときの状態でデデーンと転がっている。だからみんなこのテラモーネのどこかに腰をおろして写真を撮っていく。もちろんまゆみもパチリ!でも柱が寝っ転がってしまうと少し間が抜けて見える。

 さてさてお腹も空いてきた。よし、勉強おしまい。何を知ったと言うこともないが、博物館を歩くと少しお利口さんになったような気がするから不思議だ。でもこことっても広いので、もう疲れてしまった。しかし博物館や美術館のトイレはどこも綺麗で無料。入場した際はトイレへも忘れず入場!これは基本!

 バス停まで又てくてくてくてくと歩く。ほどなくやって来たバスに乗っていざ神殿群地域へ。暑いくらいの天気だ。窓から入ってくる風は埃っぽく、汗でべたつく。
 神殿群のバス停は、小さな食堂兼売店・・・と言うようなお店の前。看板にはバールと書いてあった。他にも数件似たような小さな食堂がある。さすがにここは私達以外にも降りる人がいた。でもまだ降りずに乗っている人がいる。どうやらここが終点ではないらしい。この先に人が住んでいるところがあるという。蠅がぶんぶん飛んでいる。
「よし、ここで何か食べよう!」
「ええーっ?こんなとこでぇ?」
「そうだよ。ここしかないんだから。それと今から遺跡を回るんだからワインはだめだよ。」
「ええーっ!」
「当たり前だろ。トイレに行きたくなったりそれに酔っぱらうとやる気がなくなるから、ダメダメ。すぐ疲れたって言うし。」
「まゆは喉がカラカラなんだよ。・・・じゃぁ、ビール飲む!」
「・・・仕方ないな、じゃぁ、ビールは飲むことにしよう。」・・・ビールとワイン、どこに違いがあるのだろう。と言うわけでビールを飲みながら夫はハンバーガーセット、まゆみはマカロニサラダを取った。観光地の小汚いバールで昼食。味もやっぱりそんなもの。でも店がここしかないのでどの店もお客さんで満杯。蠅を追い払いながらの腹ごしらえだ。
 私達が食べている間にも団体ツアーの大型バスがひっきりなしにやってくる。バスは神殿群の入り口まで行って乗客を降ろし、駐車場に戻っていく。羨ましい。私達は又ここから入口まで歩かなければならない。距離が結構あるのだ。
 文句を言っても始まらないのでお店を出て歩き始める2人。
 おお!途中から神殿が見えてきたぞ。

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最終更新日: 2010/08/29