CANのニュースレターに掲載されました。


言語訓練ソフト「カード合わせゲーム」を作成した経緯

後藤卓也

 早いもので昨年、私は二度目の成人式を迎えました。失語症になって20年になります。
インベーターゲーム全盛期の頃、パソコンは8ビットでMS−DOSが出始め、ソフトも余りない頃、定年になったときにはそういうゲームを作りたいと考えていましたが、暇がなく仕事に勢を出していました。片麻痺になり仕事を選ばなければなりません。当時、計算機に毛が生えたような将来性も見えないパソコンを躊躇なく選びました。休職が3年間ありましたので、「孟母三遷」に習い、発症して1年半、パソコンの講習に参加できるところに引越して奥さんの付き添いで講習に参加、また聞き取りにくい失語症者の電話の質問に丁寧に応対してくれたメーカー、つんどく(積読)したチョット高価な本と本。その本や解説書を何度も繰り返し読み、独学でパソコンを動かし、何度も動作不能にさせ、データをなくし、再セットした日々を繰り返しました。
パソコンは、自分に合ったスピードで、何回も点数に関係なく、学習訓練でもなく、自由に、自分の興味があることを行うことが出来きました。長いトンネルを抜けた後の満足感を味合う喜びを知ることが出来ました。満足感は自信につながり、自信は社会復帰につながりました。そしてパソコンは、今や、大型コンピュータを凌駕するものになってきたのです。
1998年当初、パソコンは少しづつ普及し始めましたが、失語症の世界にはまだ少ない状態でした。“満足感はパソコンを利用すれば誰でも味合える”、“インターネットを使用できればITの弱者にならない”と考え8年前会社を作り、言語訓練用ソフトウェア「言葉の散歩」 名詞編と動作編を開発しました。また2000年のミレニアムに始まったインターネット博覧会に「失語症記念館」を設定・参加しましたが、このサイトは現在も継続し、多くの失語症関係の方々の情報発信の場としても利用されています。*1
現在、「言葉の散歩」シリーズとして、呼称・読解編、名詞編V2、動作編V2、カード合わせゲームなどを発売しています
が、本年4月発売予定の言葉の散歩2005 プロフェッショナル及びスタンダード(財団法人テクノエイド協会の平成16年度福祉用具研究開発助成事業に認可されました*2)は動詞の訓練ソフトですが、動画と音声合成技術を駆使し、豊富なヒントを言語聴覚士(ST)が選択して設定が出来き、ST及び言語障害児者のための訓練教材ソフトとなっています。今後も小回りのきくソフトウェアを開発して行きたいと思っています。
さて、年来のライフワークは「やる気」です。失語症者になってみて、健常者の際には考えても見なかった「やる気」、ハウツー本に掲載している「やる気」、ただ自分自身の「やる気」が必要なのだということに気が付いたのです。その「やる気」になって何年間か行動すると自分でソフトを作ることが出来るものです。20年前と違いいろいろなソフトウェアがあふれています。「やる気」があれば・・・。
その「やる気」の一環として、言語訓練ソフト「カード合わせゲーム」では、「集中力」をテーマとして取り上げることにしました。トランプの神経衰弱ゲームをシステム化したもので、名詞の文字、音声、絵に親しみ、楽しく、いつの間にか訓練が出来るよう配慮しました。幼児から高齢者まで、障害者から健常者まで遊べる訓練ゲームになっています。
「やる気」を出させるように完全解答も簡単に解明出来るよう設定しています。「やれるんだ!」と意欲を出させるコースもあります。時間の制限はありません。集中力を持つといろいろなことが出来るようです。
皆さんも、やってみませんか!

*1:失語症記念館のURL
http://www.bayget.com/inpaku/index.html
*2:本製品は弊社有限会社ベイゲット及び社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、株式会社日立アドバンストデジタルの3社共同開発製品です。



横浜にてへ


記念館(元:有限会社ベイゲット)
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最終更新日: 2005/05/04